【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「遼雅さんは、あまいです」
「柚葉さんの甘さが伝線したのかもね」
「わたしは、あまくない、です」
「うん? それはどうかな。あとでたっぷり確かめさせてもらうよ」
やわい髪を撫でて、歯ブラシを手に取る。
「――柚葉さん、今日の朝食は、簡単にできるものが良いです」
「ええ?」
「そうしたら、もっと長く、きみに触れていられる」
宣言して最後にもう一度キスを捧げたら、瞳を揺らしたかわいいつまが、キッチンへと逃げ出してしまった。
「逃げるところなんて、もうないのに」
もう一度同じことを思って、一人で笑っている。
騙されやすいつまをどうやって捕まえてベッドに引き込むか、考えながら歯を磨き終えた。
鏡に映る、柚葉に毒された緩みっぱなしの表情に笑えてくる。
『橘くん、幸せそうだな』
会長に言われた言葉を思い返して、洗面所から出た。
柚葉が手に入るのなら、面倒な役職も悪くないと思えるから、きみは悪い、甘い砂糖菓子だと思う。
「柚葉さん、手伝いますよ」
「……遼雅さんは、いつもすてきすぎます」
「もっと好きになってくれる?」
「毎日だいすきで、こまっていますよ」
「あはは、もう。かわいいな」
今日も、きみに夢中になる予感しかしていない。
sweet sugar
(完)