【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「……抱きしめても?」
あまくて胸に痺れる。
声を失っていたら、右手が腰の裏に回ってやんわりと優しい力で抱き寄せられた。
熱はいつもと同じくやさしくて、今朝に抱きしめられた時と変わらない匂いに包まれる。意思とは真逆に、くたりと力が抜けてしまった。
「よい、しょっと」
「わ、」
くるりと体を回して、遼雅さんの脚の間にすっぽりと体を置かれてしまった。後ろから抱きしめてくる人が「あー、」とため息のような感嘆を漏らす声が耳に触れて、擽ったい。
「たち、」
「名前」
「……りょう、がさん」
「うん?」
突然人が入ってくるとは思えないけれど、それにしてもここは会社だ。どぎまぎしていれば、覗き込むように遼雅さんの顔が近づけられた。
「りょう、」
ちゅ、と頬にキスが落ちてくる。すこし顔を離した人が満足そうに笑って、私のお腹に回った手に力を込めた。
「柚葉」
耳に響く声に弱い。
右肩に顎を乗せて、静かに私の名前を呼んでくる。振り向く力はなくて、ただ俯いていれば、くすくすと笑う音が耳に触れた。
「一つ、弁明してもいいですか?」
「な、んですか?」
「さっきの女性」
「女性?」
「園部さん」
「はい」