【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「ええっ」
『あ、呼ばれちゃった』
「おねえちゃん?」
『ゆずー、またお電話しようね』
「ちょ……」
ぷつりと途切れて、呆然としてしまった。
姉は結構、かなり天然な女性だ。だから、茶化してそういう話題を出してきたわけではないだろう。
夫婦であれば当たり前に選択肢の一つに入ることだから、子どもについて言及されることからは逃れられない。
「こまった、なあ……」
ペアではなくセットと言ってくれたあたり、二人分のものではないだろう。それを見た遼雅さんが眉を下げてしまうところを想像して、胸がきゅうっと痛んでしまった。
かき消すようにキッチンに置いた野菜を取り出して、使うもの以外を冷蔵庫に押し込んでいく。
遼雅さんも開いて使うところだから、自分なりにわかりやすく整頓しているつもりだ。以前、仕事の帰りに買いに行っていると言ったらひどく驚かれたから、こちらも驚いてしまった。
ネットで購入して配送してもらえばいいよと言った遼雅さんは、本当に甘やかす人だと思う。
『柚葉さんは帰りも遅いことが多いんだから、無理はさせたくない』
そこまで言われたら断れなくて、買い物に足を運ぶ機会は激減してしまった。今日は久々にゆっくりと買い物することができたと思う。