【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
橘さん、もう好きになってしまいそうです。どうしたらいいでしょうか。
こまった。もう、降参です。
「よかった。それじゃあ、来週いいですか?」
「わ、来週は、はやすぎ、ます」
「そうかな?」
「だって、ええ? ほんとうですか?」
両親にお付き合いしている人がいることすら話してもいない。
突然すぎて、父は卒倒してしまうかもしれない。ただでさえ、姉が結婚するときにも泣きすぎて、母に引かれていた人だ。
急に思い返して微妙な気分になってしまった。
「もうすこし、そのお互いを……、知って……?」
「俺の全部、もう柚葉さんに見てもらって構わないですよ」
「また、そういうことを言……」
不自然に言葉が途切れた。
ちゅう、と音がして、離れる。
呆然とする私の顔を見て、橘さんが「どうですか」とあまく囁いていた。
何をされたのか、ようやく理解するころにはもう一度口づけられている。
「っん、ま、」
「柚葉さん、本当に身体、つめたいですね」
熱を灯すように、囁きながら顔のあちこちにキスを贈られる。
頬にも額にも、こめかみにも、耳にも触れられて、とうとうおかしな声が出た。
「あまい」
耳に囁かれて、のぼせそうになる。なにも、かんがえられなく、なってしまう。
「ご両親に、挨拶してもいいですか」
「ん、い、いです、けど……っ」
「よかった。早く結婚したい」
——柚葉さんと。