【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

聞いたこともないような、あまいセリフが耳元で弾けて、とうとう肩にしがみついた。

特定の相手をあまやかしたい体質なのは、よくわかった。このままでは、本当に溺れてしまうと思う。


「柚葉さん」

「きゃっ!?」


ぐっと何かに持ち上げられて、身体が宙に浮いた。

あっさり私を抱っこしてしまった人が、耳元でくすくすと笑っている。進行方向を振り向いて、半開きのドアを足で蹴っているところが見えた。

さらに狼狽えてしまう。

意外に乱暴なところがある、なんて思っていられたのはほんの束の間だ。


柔らかくおろされて、覆いかぶさるようにベッドに乗り上げてきた人が、私の頬に触れる。


「あ……」


どこからどう見ても、寝室だ。慌てる私を見つめる人が、目を眇めて、ふわりと笑った。

逸らせない瞳の力に囚われている。


「柚葉さん」

「な、んです、か」

「……かわいい」


今度は許可をとることなく顔を寄せて、唇に触れられる。

リップノイズを鳴らして吸ったり、あまく噛みついてきたりしている。もう、ただわけがわからなくて、必死で橘さんのシャツに触れていた。


「あ、なん、で……んっ」

「俺の全部、知ってください」

「ぜん、ぶ?」


爪先で身体をなぞられる。
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