【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
素肌に触れる橘さんの熱は、火傷しそうに熱い。
朝からまた眩暈を起こしそうになって、ぎゅっと胸板に押し付けられた姿勢のまま、ゆっくりと覚醒してくる瞳を見上げていた。
「起きたの?」
「あ、はい」
「身体、痛くない?」
「だ、いじょうぶです」
あんなに丁寧に抱かれたら、痛いところなんて出るはずもない。あまりにもくすぐったくて、やっぱり現実なのかと驚いたりもしている。
すこし前までは、ただの尊敬する上司だったはずだ。それがどうしていきなりこうなってしまったのか。
目を白黒させているうちに、すぐ近くへ顔を寄せてくれたうつくしい人が、当然のように唇を私のものに触れさせて、小さく笑った。
すこしおちゃめな瞳だ。
「よかった。……かなり、暴走しました」
「あ、う……、それは」
自覚はあるらしい。
苦笑した人が「結局すぐにベッドに引き込んでしまった」と囁くのを聞いて、堪えられずに俯く。会社で会っている人のそういう一面を見てしまう機会なんてそうそうないから、おかしな気分だった。
布団の中で、橘さんの熱い指先が私の腕をなぞって指先までたどり着く。
あつい、と思っていたはずなのに、触れられたら、橘さんと同じくらいに自分の手が熱くなっていることに気づかされた。