【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
囁きの合間なのか、それとも口づける隙間なのか、どちらとも言えないくらいの近さで口遊んで、ちゅう、と吸い付いてくる。
遊ぶようなキスに酔っている。
お風呂から上がってかなりの時間が経っているはずなのに、のぼせてしまいそうな気持ちがしていた。
「お仕事、おつかれさまでした」
やわい唇の触れ合いが一向に止まりそうにないから、つぶやきながら、もう一度すぐ近くに寄せられた口元に手を当てた。
遼雅さんは私の動作に瞳をやわらかく笑わせて、寄せられた手をやんわりと握りしめてしまった。
「りょう、」
「帰ってきたら……」
遼雅さんに指先を捕らえられた左手には、帰ってきて一番に嵌めなおしたシルバーリングがかがやいている。
あまく微笑んだ人が確認するように見つめて、王子様のように指輪へ口づけてくれる。
「帰ってきたら、かわいい奥さんが待ってくれていたから、もう元気になりました」
「それは、うそです」
「あはは。信じて」
指通りを確認するように髪を梳かれる。ようやく帰りの挨拶に満足できたらしい人が「俺も着替えてきます」とつぶやいたのを聞いて頷いた。
「ごはんにしますか? お風呂もすぐに入れますよ」
「……いい匂いがする。もう食べましたか?」
「いえ、もうすこしかなと思って、待っていました」