【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「かわいい」
「ゆず、かわいい」
いくつも囁かれて、否定しようと首を振るたびに口づけられる。
隅々まで触れて、身体の奥のおくまで攻め込まれたら、もう、何一つ正気でいられなくなっていた。
「あ、ぅ……っ!」
「しってますか」
どろりととろけてしまったキャンディみたいな声が、耳元で囁く。
ただ、聞いているような、聴こえていないような心もちで、遼雅さんの瞳にうつる、うつくしいひまわりのような光彩に見とれていた。
——ずっとみていたい。
「ゆず、」
「ふ、ぁ、っ……!」
「好きな匂いがする相手には、遺伝子レベルで、惹かれているん、ですよ」
「ん、あ、」
むずかしい言葉を並べられているような気がする。
いでんし、とすこしだけ唇に乗せようとして、知らないような高い声が、自分の喉に張り付いた。
こんなにもはずかしい声なのに、遼雅さんは、いつも嬉しそうな顔をしてくれる。だから、安心してまたどろどろになってしまうのだ。
「聞こえてる?」
聴こえている、はずだ。
けれど、何を吹き込まれていたのか、すこしも理解できていない。とろとろになった視界のなかで、遼雅さんがあまく微笑んでいる。
「おれのにおい、すきですか」
「う、あ……っにお、い?」
「うん、俺の匂い、すき?」
「……っあ、す、すき?」