【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
昨日の遼雅さんはかなりお酒を飲まされたらしく、珍しく頬をうっすら赤くしていた。
玄関までお迎えに行けば、ふわりと笑った遼雅さんと目が合ってしまう。
「ゆずは」とやわい声で囁く遼雅さんが心配で肩を貸したのに、躊躇いなく胸の中に抱き込まれてしまった。
ぎゅっと胸に頬を擦らせて、アルコールの匂いにぴくりと身体が反応した。もしかすると、ものすごく酔っているのだろうか。
「ゆずはさん」
「りょ、うがさん、大丈夫ですか?」
「ううん、だめかも」
「えっ、それはたいへんです。お水を……」
「最近、奥さんがつれなくて……、まだ新婚なのに」
「きゃ、わ、わたしですか?」
潰れてしまいそうなくらいに抱きしめられて、息を逃がすように顔をあげる。そのさきで、まっすぐに私を見つめている瞳と視線が絡んでしまった。
「あ、」
「ゆず」
遼雅さんに呼ばれる名前の変化には、一貫性がないように感じていた。
最近になって、ゆず、と呼ばれるとき、いつも遼雅さんのひまわりのようなうつくしい瞳の模様が、ぎらぎらと輝いていることに気づいてしまった。
いつも姉や両親に呼ばれていたような、あまい声なんかじゃない。
「ゆず」
「っん、ぁ」
もっとあつい。