冬の雨に濡れて
第16話 二人のお正月
会社は12月28日で終わり、年末年始の休暇に入る。正月は1月5日から始まる。その間はのんびりできる。未希はコンビニのアルバイトに精を出している。コンビニは年中無休だから働く側からは大変だ。
未希はシフトをこなしていて、オーナーからも受けがいい。アルバイトに穴が開くと未希が替わってこなしている。同じアパートだから何かと都合がいい。
年末年始はアルバイトの時給を100円上げてくれると言うので、未希は30日から3日まで毎日8時間は働いていた。さすがに疲れたとみえて1月4日はアルバイトを入れなかった。
俺は未希が4月から高校へ復学するために少しでもお金を貯めておきたいのが分かっているので、何も言わなかった。俺は寝る時に未希がいればそれで何も言うことがない。後は未希の自由にすればいいと思っている。
4日はアルバイトを入れなかったので、遅いけど二人で初詣に行こうと誘った。俺は明治神宮や川崎大師みたいな有名なところへ行きたかったが、未希は近くでいいと言った。疲れているようにも見えたので言うとおりにした。
公園の八幡神社へ行った。ここは二人でもう何度かお参りに来ている。何を祈ってお願いしていたのだろう。未希は長い時間手を合わせていた。俺は未希とのこの生活が続くように祈った。公園を散歩したが未希は黙って歩いていた。少し元気がなかった。
元気がなかったので心配していたが、未希は夜になって熱を出した。いつものように風呂に入って、未希を存分に可愛がってやった。未希はぐったりして横たわっていたが、俺は身体がいつもより熱いことに気が付いた。あの時は興奮していたので分からなかった。熱を測ってみると38℃もあった。
「未希、疲れていたところをすまなかったな。熱が38℃もある。明日はアルバイトを休んで医者へ行った方がいい」
「大丈夫です。一晩寝れば治ります。いままでもそうしていましたから」
「無理をして身体を壊したらそれこそ学校へも行けなくなる。悪いことは言わない。医者へ行け。費用は俺が払ってやるから」
「分かった」
未希は眠った。抱いている身体が熱い。
翌朝も熱は下がらなかった。眠っている未希の体温を測ると39℃もあった。朝食を準備して未希を起こす。未希は気だるそうに起きて来て朝食を食べている。
7時になったのでオーナーに未希が熱を出したので今日はアルバイトを休ませてほしいと伝えた。オーナーは随分心配していた。
未希には必ず医者へ行くように言って、俺は出勤した。保険証があってよかった。新年早々、休暇を取るわけにはいかない。未希のことが気になったので、終業と同時に帰ってきた。こんなに早く帰ったのは初めてかもしれない。
部屋に入ると未希はベッドで寝ていた。俺が話すと咳込みながら答える。
「医者へは行ったのか?」
「朝、近くの医院へ行って診てもらった」
「なんて言われた?」
「風邪だと言われた。薬を貰って来た」
「咳が出ているけど、熱は?」
「さっき測ったら38℃あった」
「食事は?」
「お昼にサンドイッチを食べた。夕食は食べてない。食欲がないから」
「下へ行って、俺の弁当を買ってくるが、ケーキでも買って来てやろう」
俺は下のコンビニへ行った。オーナーが未希のことを聞くので熱が下がっていないので、明日も休ませてほしいと言っておいた。オーナーはお見舞いだと言ってケーキを只にしてくれた。
「ほら、ケーキだ。何か食べないと風邪も治らない。オーナーに会ったので明日も休ませてもらうように言っておいた」
「ありがとう」
「オーナーが心配していた。お見舞いだと言ってケーキを只にしてくれた」
「お腹が空いたのでケーキをいただきます」
未希はケーキをおいしそうに食べていた。これなら1~2日でよくなるだろう。今日は風呂をやめて未希をゆっくり休ませた。未希と夜に何もなかったのはこれが初めてだったかもしれない。
俺は横に寝ている未希の後ろから抱くようにして寝ている。身体が熱くて熱のあるのが分かる。熱のあるのと風呂に入っていないのとで未希の匂いがいつもよりする。
俺は未希の匂いが好きだ。甘いような少し臭いようなそんな匂いだ。顔を覗き込むと穏やかな顔をして寝ているので安心した。こうしていると湯たんぽを抱いているようだ。いつか眠りに落ちた。
朝、体温を測ったら37℃だった。やはりもう1日アルバイトを休んで休養した方がいいと言い残して出勤した。
その日の夜、体温を計ったら37℃あった。昼は36℃に下がっていたという。未希をもう1日休ませた。
未希は元気になったが、週末に今度は俺が熱を出した。未希の風邪が移ったに違いない。土曜の朝に医者へ行って寝ていたら日曜の晩には回復していた。
未希が熱を出している間と回復してからもしばらく俺は未希に何もしなかった。そのうちに俺が熱を出したので俺の都合で何もできなかった。
1週間も未希と何もなかったが、抱いて眠るだけで身体も心も満たされていた。俺はもう未希が傍にいるだけで満足なのかもしれない。
未希はシフトをこなしていて、オーナーからも受けがいい。アルバイトに穴が開くと未希が替わってこなしている。同じアパートだから何かと都合がいい。
年末年始はアルバイトの時給を100円上げてくれると言うので、未希は30日から3日まで毎日8時間は働いていた。さすがに疲れたとみえて1月4日はアルバイトを入れなかった。
俺は未希が4月から高校へ復学するために少しでもお金を貯めておきたいのが分かっているので、何も言わなかった。俺は寝る時に未希がいればそれで何も言うことがない。後は未希の自由にすればいいと思っている。
4日はアルバイトを入れなかったので、遅いけど二人で初詣に行こうと誘った。俺は明治神宮や川崎大師みたいな有名なところへ行きたかったが、未希は近くでいいと言った。疲れているようにも見えたので言うとおりにした。
公園の八幡神社へ行った。ここは二人でもう何度かお参りに来ている。何を祈ってお願いしていたのだろう。未希は長い時間手を合わせていた。俺は未希とのこの生活が続くように祈った。公園を散歩したが未希は黙って歩いていた。少し元気がなかった。
元気がなかったので心配していたが、未希は夜になって熱を出した。いつものように風呂に入って、未希を存分に可愛がってやった。未希はぐったりして横たわっていたが、俺は身体がいつもより熱いことに気が付いた。あの時は興奮していたので分からなかった。熱を測ってみると38℃もあった。
「未希、疲れていたところをすまなかったな。熱が38℃もある。明日はアルバイトを休んで医者へ行った方がいい」
「大丈夫です。一晩寝れば治ります。いままでもそうしていましたから」
「無理をして身体を壊したらそれこそ学校へも行けなくなる。悪いことは言わない。医者へ行け。費用は俺が払ってやるから」
「分かった」
未希は眠った。抱いている身体が熱い。
翌朝も熱は下がらなかった。眠っている未希の体温を測ると39℃もあった。朝食を準備して未希を起こす。未希は気だるそうに起きて来て朝食を食べている。
7時になったのでオーナーに未希が熱を出したので今日はアルバイトを休ませてほしいと伝えた。オーナーは随分心配していた。
未希には必ず医者へ行くように言って、俺は出勤した。保険証があってよかった。新年早々、休暇を取るわけにはいかない。未希のことが気になったので、終業と同時に帰ってきた。こんなに早く帰ったのは初めてかもしれない。
部屋に入ると未希はベッドで寝ていた。俺が話すと咳込みながら答える。
「医者へは行ったのか?」
「朝、近くの医院へ行って診てもらった」
「なんて言われた?」
「風邪だと言われた。薬を貰って来た」
「咳が出ているけど、熱は?」
「さっき測ったら38℃あった」
「食事は?」
「お昼にサンドイッチを食べた。夕食は食べてない。食欲がないから」
「下へ行って、俺の弁当を買ってくるが、ケーキでも買って来てやろう」
俺は下のコンビニへ行った。オーナーが未希のことを聞くので熱が下がっていないので、明日も休ませてほしいと言っておいた。オーナーはお見舞いだと言ってケーキを只にしてくれた。
「ほら、ケーキだ。何か食べないと風邪も治らない。オーナーに会ったので明日も休ませてもらうように言っておいた」
「ありがとう」
「オーナーが心配していた。お見舞いだと言ってケーキを只にしてくれた」
「お腹が空いたのでケーキをいただきます」
未希はケーキをおいしそうに食べていた。これなら1~2日でよくなるだろう。今日は風呂をやめて未希をゆっくり休ませた。未希と夜に何もなかったのはこれが初めてだったかもしれない。
俺は横に寝ている未希の後ろから抱くようにして寝ている。身体が熱くて熱のあるのが分かる。熱のあるのと風呂に入っていないのとで未希の匂いがいつもよりする。
俺は未希の匂いが好きだ。甘いような少し臭いようなそんな匂いだ。顔を覗き込むと穏やかな顔をして寝ているので安心した。こうしていると湯たんぽを抱いているようだ。いつか眠りに落ちた。
朝、体温を測ったら37℃だった。やはりもう1日アルバイトを休んで休養した方がいいと言い残して出勤した。
その日の夜、体温を計ったら37℃あった。昼は36℃に下がっていたという。未希をもう1日休ませた。
未希は元気になったが、週末に今度は俺が熱を出した。未希の風邪が移ったに違いない。土曜の朝に医者へ行って寝ていたら日曜の晩には回復していた。
未希が熱を出している間と回復してからもしばらく俺は未希に何もしなかった。そのうちに俺が熱を出したので俺の都合で何もできなかった。
1週間も未希と何もなかったが、抱いて眠るだけで身体も心も満たされていた。俺はもう未希が傍にいるだけで満足なのかもしれない。