冬の雨に濡れて
第16話 やりたい放題されている俺
その週の土曜日に俺たちは入籍した。
すぐに結婚指輪を買いに行った。そして結婚写真をどうしても撮っておきたかったから、式場を探して二人だけの結婚式を挙げた。未希の両親の結婚写真がどこにも見つからなかったからだ。
ここまで長い道のりだった。二人には始めから試練ばかりだった。その試練に俺の方が耐えられずに諦めた。そして別れた。
未希が戻ってきて、今度は諦めないと決心して未希と結ばれた。この違いは思いの強さだと思っている。
前よりまして未希への思いが強かったからだ。神様の試練を俺は思いの強さで乗り越えた。
それからしばらくは今までどおり、それぞれの部屋に住んでいた。ウィークデイの夕食は未希が作ってくれて俺は帰りに寄ってご馳走になる。休日は俺が夕食を作って未希が食べに来る。金曜日と土曜日の夜はどちらかの部屋で愛し合う。
入籍してから、俺は二人のための新しい住まいを探した。今の2DKの部屋に二人で一緒住んで住めないことはないが手狭だ。ゆっくり二人で過ごせる住まいが欲しいと思った。
近所で築年数が古いマンションを改装して売りだしていた。リノベーションマンションと言うやつだ。
二人で見にいったが、3DKを2LDKにしたとかで、内装は新築マンションと変わりがない。キッチンも今様の対面キッチンで未希は料理がしやすいと気に入っていた。
値段も底そこなので、俺は貯金を叩いて買うことにした。月々のローンの額も負担になるような額ではない。
歳が離れているので俺が早く死ぬようなことがあっても未希のために住居だけは確保しておいてやりたかった。
引越しをして荷物を搬入した。出来るだけ余分な支出を避けようと今あるものを持って行こうと相談した。
未希は俺の部屋にあるものを自分の部屋にもそろえたのでベッド以外はなんでも2つある。
ベッドは俺のセミダブルを持ち込んだ。未希は思い出がいっぱいで愛着があるし、二人では少し狭いので抱き締めて寝てもらえていいと言った。俺には反対の理由はない。
高さの同じ整理ダンスも寝室に入れた。テレビはリビングと寝室に置いた。ソファーもリビングと寝室においた。
冷蔵庫、炊飯器、洗濯機は未希の新しいものにした。食器棚とテーブルと椅子も未希の新しいものにした。もう1つの部屋に俺の本棚や机を入れて書斎にした。
二人の新しい生活が始まったころ、もう7月になっていた。別居して暮らしていたものの生活パターンはあの同居していたころと同じになっている。
未希は嬉しそうだ。丸2年以上、別々に生活していたが、一緒に生活してみるとその期間がまるでなったように思えてくるから不思議だ。
「こうして生活していると、会ってからずっと二人で生活していたように思う。あの別れていた期間がなかったような気がするね」
「私もそう思っていました」
「あの別れていた期間は俺たちの試練のためだったようだ」
「辛かったけど、あの期間があったから今があるようにも思っています」
「俺には未希が必要と分かった」
「私も同じです」
「こうなるのが運命だったとこのごろ思う」
「私もあの日に出会ったのも運命だと今は思います」
二人でお風呂に入る。俺が未希と出会ってからはほとんど二人でお風呂に入っていた。ここのお風呂はアパートとは比べ物にならないくらい快適だ。
ボタン一つでお湯がバスタブに満たされる。バスタブも洗い場も広い。お湯は溢れるが二人でバスタブにも浸かれる。だから、二人はつい長風呂になる。この生活が毎日続くことを祈るばかりだ。
俺は未希の父親のようにはなりたくないとずっと思っている。そうならない覚悟ができたから、未希にプロポーズした。
二人とも過去に捕らわれることなく、前向きに一日一日を大切にして生きていきたい。未希とそう話し合った。
未希も俺から精神的にも自立しつつある。俺も未希に溺れないで自立しつつある。
お互いに愛し合っていることは心も身体も分かっている。だから、二人はいつも穏やかで喧嘩もしない。
俺は絶対に未希に小言なんか言わない。未希も不平を言ったりしないが、甘え方がうまくなった。それはそれでよしとしよう。俺は未希に前から甘かった。
俺の今の収入だと未希を家で主婦にしておくこともできるが、共働きをしている方が未希にはいいと思っている。
経済的にも余裕がある上に、社員食堂でサラリーマンの生活を見ているから、俺の仕事への理解も深まるだろう。それに働いて経済的に自立していると言う自信が未希を大人にしている。
生活が落ち着いて来た最近の週末の夜には、未希に無茶苦茶な要求をされている。これじゃあ身体が持たなくて早死にしそうだ。
あの時は未希にいろいろ教え込んだが、未希は味を覚えて、それが今の俺に跳ね返ってきている。
女性は受け身だが、男は体力勝負だし、気力も充実していないとだめだ。年齢差からもいずれ太刀打ちできなくなる。それが怖い。
未希にやりたい放題やって教え込み過ぎた。最近、そのことを後悔している。未希にやりたい放題にやらされて生気を吸い取られてぐったりしているのは俺の方だ。
まあ、可愛い未希のいうことを聞いてやるのもこれまでの罪滅ぼしだと思っている。
これで、冬の雨の日に出会った家出JKととんでもない性悪のサラリーマンとの凄まじいラブストーリーはおしまいです。 めでたし、めでたし
すぐに結婚指輪を買いに行った。そして結婚写真をどうしても撮っておきたかったから、式場を探して二人だけの結婚式を挙げた。未希の両親の結婚写真がどこにも見つからなかったからだ。
ここまで長い道のりだった。二人には始めから試練ばかりだった。その試練に俺の方が耐えられずに諦めた。そして別れた。
未希が戻ってきて、今度は諦めないと決心して未希と結ばれた。この違いは思いの強さだと思っている。
前よりまして未希への思いが強かったからだ。神様の試練を俺は思いの強さで乗り越えた。
それからしばらくは今までどおり、それぞれの部屋に住んでいた。ウィークデイの夕食は未希が作ってくれて俺は帰りに寄ってご馳走になる。休日は俺が夕食を作って未希が食べに来る。金曜日と土曜日の夜はどちらかの部屋で愛し合う。
入籍してから、俺は二人のための新しい住まいを探した。今の2DKの部屋に二人で一緒住んで住めないことはないが手狭だ。ゆっくり二人で過ごせる住まいが欲しいと思った。
近所で築年数が古いマンションを改装して売りだしていた。リノベーションマンションと言うやつだ。
二人で見にいったが、3DKを2LDKにしたとかで、内装は新築マンションと変わりがない。キッチンも今様の対面キッチンで未希は料理がしやすいと気に入っていた。
値段も底そこなので、俺は貯金を叩いて買うことにした。月々のローンの額も負担になるような額ではない。
歳が離れているので俺が早く死ぬようなことがあっても未希のために住居だけは確保しておいてやりたかった。
引越しをして荷物を搬入した。出来るだけ余分な支出を避けようと今あるものを持って行こうと相談した。
未希は俺の部屋にあるものを自分の部屋にもそろえたのでベッド以外はなんでも2つある。
ベッドは俺のセミダブルを持ち込んだ。未希は思い出がいっぱいで愛着があるし、二人では少し狭いので抱き締めて寝てもらえていいと言った。俺には反対の理由はない。
高さの同じ整理ダンスも寝室に入れた。テレビはリビングと寝室に置いた。ソファーもリビングと寝室においた。
冷蔵庫、炊飯器、洗濯機は未希の新しいものにした。食器棚とテーブルと椅子も未希の新しいものにした。もう1つの部屋に俺の本棚や机を入れて書斎にした。
二人の新しい生活が始まったころ、もう7月になっていた。別居して暮らしていたものの生活パターンはあの同居していたころと同じになっている。
未希は嬉しそうだ。丸2年以上、別々に生活していたが、一緒に生活してみるとその期間がまるでなったように思えてくるから不思議だ。
「こうして生活していると、会ってからずっと二人で生活していたように思う。あの別れていた期間がなかったような気がするね」
「私もそう思っていました」
「あの別れていた期間は俺たちの試練のためだったようだ」
「辛かったけど、あの期間があったから今があるようにも思っています」
「俺には未希が必要と分かった」
「私も同じです」
「こうなるのが運命だったとこのごろ思う」
「私もあの日に出会ったのも運命だと今は思います」
二人でお風呂に入る。俺が未希と出会ってからはほとんど二人でお風呂に入っていた。ここのお風呂はアパートとは比べ物にならないくらい快適だ。
ボタン一つでお湯がバスタブに満たされる。バスタブも洗い場も広い。お湯は溢れるが二人でバスタブにも浸かれる。だから、二人はつい長風呂になる。この生活が毎日続くことを祈るばかりだ。
俺は未希の父親のようにはなりたくないとずっと思っている。そうならない覚悟ができたから、未希にプロポーズした。
二人とも過去に捕らわれることなく、前向きに一日一日を大切にして生きていきたい。未希とそう話し合った。
未希も俺から精神的にも自立しつつある。俺も未希に溺れないで自立しつつある。
お互いに愛し合っていることは心も身体も分かっている。だから、二人はいつも穏やかで喧嘩もしない。
俺は絶対に未希に小言なんか言わない。未希も不平を言ったりしないが、甘え方がうまくなった。それはそれでよしとしよう。俺は未希に前から甘かった。
俺の今の収入だと未希を家で主婦にしておくこともできるが、共働きをしている方が未希にはいいと思っている。
経済的にも余裕がある上に、社員食堂でサラリーマンの生活を見ているから、俺の仕事への理解も深まるだろう。それに働いて経済的に自立していると言う自信が未希を大人にしている。
生活が落ち着いて来た最近の週末の夜には、未希に無茶苦茶な要求をされている。これじゃあ身体が持たなくて早死にしそうだ。
あの時は未希にいろいろ教え込んだが、未希は味を覚えて、それが今の俺に跳ね返ってきている。
女性は受け身だが、男は体力勝負だし、気力も充実していないとだめだ。年齢差からもいずれ太刀打ちできなくなる。それが怖い。
未希にやりたい放題やって教え込み過ぎた。最近、そのことを後悔している。未希にやりたい放題にやらされて生気を吸い取られてぐったりしているのは俺の方だ。
まあ、可愛い未希のいうことを聞いてやるのもこれまでの罪滅ぼしだと思っている。
これで、冬の雨の日に出会った家出JKととんでもない性悪のサラリーマンとの凄まじいラブストーリーはおしまいです。 めでたし、めでたし