COSMOS
「いや、何でもない。それより、羽依さ、8月7日なんか予定ある?」


お願いだ。

無しであってくれ。

心の中で神に祈る。


「10日からおばあちゃん家に帰省するけど、それまでは特別ないよ。暑いから部活は朝7時から10時までしかやらないし」

「そっか。じゃあ......」


よし。

行くぞ!


「花火大会、一緒に行かないか?」

「あ~わかった!あの水上で打ち上げるやつでしょ?」

「そう。ってか、実はもうチケット取って席も確保してあるんだけど...」


オレは、大事に大事に、テスト対策プリントより大事に、1番きれいな透明クリアファイルに入れて来たチケットを羽依に差し出した。


「うわぁ!すごい!わざわざ取ってくれたんだ!じゃあ、人混みの中立って見なくていいんだね」

「うん。わりと出入口からも近い場所だし、混まない時に来て、見たらすぐ帰れるよ」

「すごーい!そんなことまで考えてくれたの?」

「まあな」

「うん!行く!絶対行く!風邪引いても行く!何がなんでも行くから!」

「ありがとう。じゃあ、当日は......」

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