COSMOS
開会式が終わり、オレは試合が始まる前に急いでトランシーバーを獲得しに行った。

ったく、こういうことこそ、教室にくる用件なのではないのか?

ずれているやつだから、仕方がないといえば仕方がないが。


――ガチャ。

――ギーー...。


それにしても不気味な音だ。

この部屋だけ年期入り過ぎだろ。


「久遠、取りに来たぞ~」


大声を出したが、声がしない。

あれ?

いないのか?

もしかして最初の試合から出場とか?

何気に運動神経いいからな、アイツ。

仕方ない。

無断で取っていくか。

1番上の棚を開け、例の物を取り出す。

ついにこれとご対面だ。

オレは未だ未使用だが、夏祭りの時に久遠とひなが持ってきていてその存在を知った。

ふ~ん。

こんなの使ってるのか。

面白いな。

ドラマとかアニメに出てくる刑事とか探偵みたいだ。

なんて言っている場合ではない。

オレは反対側のポケットにそれを突っ込んだ。

さてと、ウォーミングアップに向かうか。

と、その時。


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