COSMOS
「ワンコ、おはようございます」

「あっ、お、おはよう...」


待て。

オレはなぜこんなに動揺してんだ。

久遠の髪型がいつもと違うだけなのに。

なぜ、だ...?


「なんすか?緊張してんすか?」

「いや、べ、別に...」

「別に、なわけないっしょ?汗、だらんだらんすよ。今から緊張してどうするんすか?本番はこれからってのに」

「だから、緊張なんてして...」


そう言いかけた時、久遠がオレの手首を掴んだ。


「ちょっとおとなしくしててください。皆からのパワー分けますから」

「は?」


久遠はポケットから真っ赤なハチマキを出し、オレの手首に巻き付けた。

なんか手錠かけられて逮捕されるみたいだな。


「福祉部全員からのメッセージ入りっす。ちゃんと昨日ご祈祷してもらったんすよ。だからパワーは100倍っす。あのヒーローになれます。つうことで、頑張れますよね?」


メッセージ入りかよ。

ほんと、想像の遥か上を行くやつだな。


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