COSMOS
「皆さん、突然すみません。私、学生福祉部部長の久遠由紗と申します。今日は皆さんを矯正しに参りました。どうぞよろしくお願いします」

「は?なんのことですか?歯の矯正ですか?」


佐伯が挑発してくる。

残念な人っすねぇ。

心が汚れているのに、髪の毛くるくるにしてメイクばっちりしても意味ないんすけどねー。

でも、私は心優しいから、そんなあなたの汚れて腐りきった心、矯正してあげますよ。

ひれ伏して感謝せい。


「歯の矯正でしたら、私ではなく、歯科医にやっていただきたいものですね。残念ながら、私は専門外なのでよく分かりません。このお話が終わった後にでもぜひ歯医者へ」

「は?先輩、さっきから言ってることぜんっぜん分かんないんですけど。ちゃんと端的にお話してくれませんかぁ?」


ははっ。

ほんと、笑っちゃうよ。

笑っちゃうくらい、腐ってるよ。

まったく、どうしてこんなに汚れてしまったのか。

理由はともあれ、矯正しなければ。

そして、教室の隅で怯えている彼女を...

楠木さんを、救わなければ。


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