半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「でも、母様は人の姿をしていても、美しい大きな尻尾が〝たくさん〟あったわ」
「オウカ姫クラスになると、膨大な妖力を抑え込むために尻尾は必要なんです。二十一番目の姫君も母は人間でしたが、今は一千年を超える大妖怪です。姫様が人間混じりなのも、時間の問題でしょう」

 ――妖怪国に行けば、もっと早く立派な妖怪になれる。

 アサギが、またしても口癖のようにそうシメた。

 ずっと人間界にいるわけではない。強い妖怪ほど、ここは生きにくい場所なのだと、彼はリリアに教え続けていた。

 妖狐は、毛色で格が分かれている。

 人型である時、リリアの髪色はプラチナブロンドだが、仔狐の姿だと母と瓜二つの見事な黄金色だった。それは最上級の天狐である。

 ……狐姿だと視界が低くなるので、リリアは好んで変身したりはしないけれど。

「黒狐は中級で、白狐と並んで代々金狐の側仕えです。人間に化けるのも馬鹿みたいに妖力を消費するのに、俺はこうして完璧に人間に化け続けているでしょう?」

 ふふん、とアサギは自慢げに胸を張って手をあてる。
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