半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「させるわけがないだろう、お前は馬鹿なのか? そもそも、妖力に頼ってパンチ力は弱いくせに『ぶん殴る』と言われてもな、説得力はない」
「魔法使いの癖に、身体を鍛えまくってるあんたがおかしいのよっ」
「俺は戦闘魔法使いなんだ、当然だろう」
続いてのリリアのキックに対しても、彼は言いながら、浮遊魔法陣を移動させてさらりとかわしていた。
リリアは、宙で地団太を踏んでしまいたくなった。
妖力が不穏な空気を放って強まる。一色即発の気配を察知したアサギが、「よいしょ」と立ち上がって、にっこり笑いリリアを呼んだ。
「姫様、そろそろ旦那様の元に戻りましょうか。ほら、おいで~」
腕を広げると、幼い子を宥めるようにそう言った。
いつまで経っても、小さな子供扱いをしてくる執事だ。けれどいつもそうだったから、リリアは宙でくるりと向きを変えると、素直にその腕にふわりと収まった。
「うんうん、妖力も安定してますねぇ。月光浴のおかげかな?」
よしよしと頭を撫でられた。
物心付いた頃から一緒にいたから、兄みたいにのんびりと微笑みかけられれば、リリアも嫌な気持ちを忘れて、つられて笑ってしまう。
「魔法使いの癖に、身体を鍛えまくってるあんたがおかしいのよっ」
「俺は戦闘魔法使いなんだ、当然だろう」
続いてのリリアのキックに対しても、彼は言いながら、浮遊魔法陣を移動させてさらりとかわしていた。
リリアは、宙で地団太を踏んでしまいたくなった。
妖力が不穏な空気を放って強まる。一色即発の気配を察知したアサギが、「よいしょ」と立ち上がって、にっこり笑いリリアを呼んだ。
「姫様、そろそろ旦那様の元に戻りましょうか。ほら、おいで~」
腕を広げると、幼い子を宥めるようにそう言った。
いつまで経っても、小さな子供扱いをしてくる執事だ。けれどいつもそうだったから、リリアは宙でくるりと向きを変えると、素直にその腕にふわりと収まった。
「うんうん、妖力も安定してますねぇ。月光浴のおかげかな?」
よしよしと頭を撫でられた。
物心付いた頃から一緒にいたから、兄みたいにのんびりと微笑みかけられれば、リリアも嫌な気持ちを忘れて、つられて笑ってしまう。