半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「でも、父様」
「風邪みたいなものなら、体調を考えて休んでおいた方がいい。俺の可愛いリリアが、遠い学院で突然倒れでもしたら、心配だよ」
「ははは、ばったばった倒れるのは、周りの人間共だと思いますけどね~」

 今回の派手な放電期、身体を張って対応しているアサギが素直に感想を述べる。

 昨日から、彼は何度もリリアの妖力に吹き飛ばされ、宙を舞っていた。他の人にいかないよう、身体を張って雷撃をまともに食らったのも、ある。

「姫様の妖力が桁違いのせいで、放電威力も増し増しですが、発生時に小屋の一個が吹き飛んだだけで今のところ死傷者も無し! 俺、実に素晴らしい働きっぷりじゃないですか」

 はっはっはーと、アサギが誇らしげに胸を張ってそう言った。

 使用人達、そして体調に考慮した食事を運んできた給仕とコック達が、揃ってアサギを見た。

「わたくし達としては、アサギ様が毎度生還されているのが、不思議ですわ」
「俺、初めて見た時は『あ、死んだな』て思いましたもん」
「普通だったら大怪我ものだと思う」
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