半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「アサギは昔からそうだよ。無駄に打たれ強い」
屋敷の者達の会話を聞いて、ツヴァイツァーが口を挟んだ。リリアと使用人達は、普段から彼に「テンメェええええええ!」とぶっ飛ばされているアサギを思い返した。
リリアは、その拍子に涙も引っ込んだ。
「なるほど。納得だわ」
「え、姫様、何を納得されたんです?」
鼻をずびっとやったリリアの小さな放電を、ぺぺっぺんっと手で器用に防いだアサギが、不思議そうな顔をした。
それから三日、消灯した寝室が一晩中明るくてかなわない、という日々が続いた。
自室に閉じこもったリリアは、大変不自由で苛々した。
でも、この威力だと、みんなを怪我させてしまうと思ったら寝室からも出られなかった。大丈夫よと強がりは言ったものの、寂しくてこっそりベッドの中で涙した。
「姫様、また泣いているんですか?」
深夜だというのに、そんな時はひょっこりアサギが現われた。
「……私のそばにいると、バチバチってきちゃうわよ」
「ははは、仔狐に引っ掻かれたくらいですよ」
「でも」
言い掛けた時、大きな手が、ぽふっとリリアの頭に置かれた。
屋敷の者達の会話を聞いて、ツヴァイツァーが口を挟んだ。リリアと使用人達は、普段から彼に「テンメェええええええ!」とぶっ飛ばされているアサギを思い返した。
リリアは、その拍子に涙も引っ込んだ。
「なるほど。納得だわ」
「え、姫様、何を納得されたんです?」
鼻をずびっとやったリリアの小さな放電を、ぺぺっぺんっと手で器用に防いだアサギが、不思議そうな顔をした。
それから三日、消灯した寝室が一晩中明るくてかなわない、という日々が続いた。
自室に閉じこもったリリアは、大変不自由で苛々した。
でも、この威力だと、みんなを怪我させてしまうと思ったら寝室からも出られなかった。大丈夫よと強がりは言ったものの、寂しくてこっそりベッドの中で涙した。
「姫様、また泣いているんですか?」
深夜だというのに、そんな時はひょっこりアサギが現われた。
「……私のそばにいると、バチバチってきちゃうわよ」
「ははは、仔狐に引っ掻かれたくらいですよ」
「でも」
言い掛けた時、大きな手が、ぽふっとリリアの頭に置かれた。