半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
ちゃっかり妖力でガードしたアサギのかたわら、「ぴぎゃっ」と可哀そうな悲鳴をこぼして、狸が吹き飛ぶ。
ひゅーんっと空を舞ったそれが、べしょっと落ちた。
「あら、意外と小さい」
覗き込んで、リリアはようやくそれが『大きなオバケではない』ことに気付いた。
ぷすぷすと若干焦げているのは、丸いボディーをした、もふもふ狸だった。
「彼、なんか言ってましたね」
アサギが、その狸をぞんざいに片手で鷲掴みにして、目の高さまで持ち上げた。こちらへと向けられると、ダメージ満載の悲壮な表情を浮かべた狸の顔があった。
「か、格上の妖狐の、俺への扱いがひどすぎる……兄さん、優しくするなら最初から最後まで優しくして……」
「そんな義理はありません」
ザクっ、と掴んでいるアサギの爪が刺さった。
「痛い! 調子に乗ってすみませんでした!」
「ウチの可愛い仔狐に、許可もなく突進してくるとは何事ですか。あなたの住処、焼き払いますよ」
「ひぃえええええぇぇ、それでいて相変わらず格上の狐って容赦ねぇ! 弱肉強食を感じる!」
人の言葉を話す狸が、ガタガタ震えた。
ひゅーんっと空を舞ったそれが、べしょっと落ちた。
「あら、意外と小さい」
覗き込んで、リリアはようやくそれが『大きなオバケではない』ことに気付いた。
ぷすぷすと若干焦げているのは、丸いボディーをした、もふもふ狸だった。
「彼、なんか言ってましたね」
アサギが、その狸をぞんざいに片手で鷲掴みにして、目の高さまで持ち上げた。こちらへと向けられると、ダメージ満載の悲壮な表情を浮かべた狸の顔があった。
「か、格上の妖狐の、俺への扱いがひどすぎる……兄さん、優しくするなら最初から最後まで優しくして……」
「そんな義理はありません」
ザクっ、と掴んでいるアサギの爪が刺さった。
「痛い! 調子に乗ってすみませんでした!」
「ウチの可愛い仔狐に、許可もなく突進してくるとは何事ですか。あなたの住処、焼き払いますよ」
「ひぃえええええぇぇ、それでいて相変わらず格上の狐って容赦ねぇ! 弱肉強食を感じる!」
人の言葉を話す狸が、ガタガタ震えた。