半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
これでは話が進まない。リリアは、さすがにかわいそうにもなって、アサギから狸を解放させた。いったん話を聞くべく、その場で三人向かい合って座る。
「私の名前はリリアよ、こっちは執事で黒狐のアサギ。あなたは?」
「俺は、小妖怪の化け狸、カマルです」
頭にたんこぶを二つ作った、もふもふで丸っとした狸、カマルがそう自己紹介した。
カマルは、斜め前からじーっと自分を見続けているアサギに、ガタガタ震えていた。
「もう、俺を見る視線が、捕食者の目……」
「あなたも、数十年は生きた立派なあやかしでしょう。何を言っているんですか」
「俺は日々、面白おかしく食っちゃ寝で過ごしている小さなあやかしですよ……」
それはそれで、誰かにとっては『羨ましい』とも思わせる生活だ。
リリアは、ふわふわの狸の愛らしい空想を思い浮かべてしまった。ハッと我に返ると、オッホンと咳払いする。
「それで? 一体なんの協力なのよ? 言っておくけど、私はまだ十五歳の娘よ」
「けれどその妖力量、質、どれをとってもまさに大妖怪です」
途端、カマルがピッと背筋を伸ばしてそう言った。……狸の姿なのだけれど、律儀に小さな足できちんと正座をしているのがすごい。
「私の名前はリリアよ、こっちは執事で黒狐のアサギ。あなたは?」
「俺は、小妖怪の化け狸、カマルです」
頭にたんこぶを二つ作った、もふもふで丸っとした狸、カマルがそう自己紹介した。
カマルは、斜め前からじーっと自分を見続けているアサギに、ガタガタ震えていた。
「もう、俺を見る視線が、捕食者の目……」
「あなたも、数十年は生きた立派なあやかしでしょう。何を言っているんですか」
「俺は日々、面白おかしく食っちゃ寝で過ごしている小さなあやかしですよ……」
それはそれで、誰かにとっては『羨ましい』とも思わせる生活だ。
リリアは、ふわふわの狸の愛らしい空想を思い浮かべてしまった。ハッと我に返ると、オッホンと咳払いする。
「それで? 一体なんの協力なのよ? 言っておくけど、私はまだ十五歳の娘よ」
「けれどその妖力量、質、どれをとってもまさに大妖怪です」
途端、カマルがピッと背筋を伸ばしてそう言った。……狸の姿なのだけれど、律儀に小さな足できちんと正座をしているのがすごい。