半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
化け狸の〝変化の術〟は、さて置き、カマルが話し始める。
「俺が求婚した相手は、化け大狸一族の三十五番目の末の子、娘のメイです。それはもう可愛くて、器量が良くて、優しくって」
「狸? あなたと同じ?」
「とんでもない。俺は下位の人間界生まれの化け狸ですっ」
カマルが焦って訂正した。
リリアが小首を傾げると、アサギが言ってくる。
「我々と同じですよ。妖狐だと、トップに天狐がいます。化け大狸は、妖怪国でもきちんと領地をもった、古くからいる大妖怪の一つです」
「そうだったの……それで?」
「はい、実は――」
リリアが促すと、カマルが話し出した。
メイにプロポーズをして、求愛を受け入れてもらえた。それでは結婚しようと話し合い、妖怪国へ行って、父親である化け大狸の主に会いに行ったのだという。
そこでカマルは、誠心誠意に「娘をください」と挨拶をした。
そうしたところ、ならん!と大きな一喝が落ちたらしい。
二人で説得したものの、父親大狸は頑なに頷かなかった。メイを人間界へもう行かせないとまで言う始末で、彼女と父の大喧嘩まで起こった。
「俺が求婚した相手は、化け大狸一族の三十五番目の末の子、娘のメイです。それはもう可愛くて、器量が良くて、優しくって」
「狸? あなたと同じ?」
「とんでもない。俺は下位の人間界生まれの化け狸ですっ」
カマルが焦って訂正した。
リリアが小首を傾げると、アサギが言ってくる。
「我々と同じですよ。妖狐だと、トップに天狐がいます。化け大狸は、妖怪国でもきちんと領地をもった、古くからいる大妖怪の一つです」
「そうだったの……それで?」
「はい、実は――」
リリアが促すと、カマルが話し出した。
メイにプロポーズをして、求愛を受け入れてもらえた。それでは結婚しようと話し合い、妖怪国へ行って、父親である化け大狸の主に会いに行ったのだという。
そこでカマルは、誠心誠意に「娘をください」と挨拶をした。
そうしたところ、ならん!と大きな一喝が落ちたらしい。
二人で説得したものの、父親大狸は頑なに頷かなかった。メイを人間界へもう行かせないとまで言う始末で、彼女と父の大喧嘩まで起こった。