半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
もっぐもっぐする彼は、大変ご満悦そうな表情だった。もふもふとしたほっぺが動いていて、幸せそうに目元も緩んでいる。
その様子を、扉の向こうからこっそり眺めていた料理長やコック達が、狸にも好評価な味なのだと分かって感動していた。
そのかたわらで、執事としてそばに立つアサギと、屋敷の主人であるツヴァイツァーの話は続いていた。
「旦那様が『結婚する相手がいる』という話だけで、信用しすぎなんです」
「だからアサギも一緒に寝泊まりさせているだろう? はぁ、本当は俺が一緒にリリアと寝たいけど、お前が放電期だというから」
「そこでグチグチ言わない。放電から守らないといけなくなるんで、俺が休めません」
――事実、カマルはリリアのクシャミで、何度か若干焦げてもいた。
その日も、翌日も、大きな岩のあやかしをどかすための下準備作業は続いた。
量はだいぶたまってきた。慣れ出して、一同の作業効率が良くなったためでもある。
そんな折り、いつもはないことが起こった。
「あの、お嬢様。お手紙が届いています」
「手紙?」
その様子を、扉の向こうからこっそり眺めていた料理長やコック達が、狸にも好評価な味なのだと分かって感動していた。
そのかたわらで、執事としてそばに立つアサギと、屋敷の主人であるツヴァイツァーの話は続いていた。
「旦那様が『結婚する相手がいる』という話だけで、信用しすぎなんです」
「だからアサギも一緒に寝泊まりさせているだろう? はぁ、本当は俺が一緒にリリアと寝たいけど、お前が放電期だというから」
「そこでグチグチ言わない。放電から守らないといけなくなるんで、俺が休めません」
――事実、カマルはリリアのクシャミで、何度か若干焦げてもいた。
その日も、翌日も、大きな岩のあやかしをどかすための下準備作業は続いた。
量はだいぶたまってきた。慣れ出して、一同の作業効率が良くなったためでもある。
そんな折り、いつもはないことが起こった。
「あの、お嬢様。お手紙が届いています」
「手紙?」