半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
学院を休んだことで、手紙を寄越してくるような間柄に覚えはない。
手紙を持ってきた女性使用人が、戸惑いがちに差し出してくる。疑問に思いながら受け取ったリリアは、宛名を確認して少し驚いた。
そこには、サイラスの名があった。
「婚約者の体裁をたもって、送ってきたのかしら?」
学院に入る前、長らく顔を合わせなかった時にそのようなことが数回あった。婚約者になったというのに、一度も顔を合わせない状況はまずいだろう、と。
今回も、宰相あたりから言われてそうしたのだろうか?
以前のも全て、どうせ本人が書いているわけではないのだろう、と推測していた。彼をフォローすべく、リリアの休みを知った誰かが、今回も慌てて代筆したのか。
きっと数行、返事も必要がない文章が並んでいるだけ。
「読むまでもないわ。どうせ社交辞令が書かれているだけだろうし」
作業中だったリリア、アサギとカマルの視線の中、封も開けずその手紙を女性使用人に返した。
手紙を持ってきた女性使用人が、戸惑いがちに差し出してくる。疑問に思いながら受け取ったリリアは、宛名を確認して少し驚いた。
そこには、サイラスの名があった。
「婚約者の体裁をたもって、送ってきたのかしら?」
学院に入る前、長らく顔を合わせなかった時にそのようなことが数回あった。婚約者になったというのに、一度も顔を合わせない状況はまずいだろう、と。
今回も、宰相あたりから言われてそうしたのだろうか?
以前のも全て、どうせ本人が書いているわけではないのだろう、と推測していた。彼をフォローすべく、リリアの休みを知った誰かが、今回も慌てて代筆したのか。
きっと数行、返事も必要がない文章が並んでいるだけ。
「読むまでもないわ。どうせ社交辞令が書かれているだけだろうし」
作業中だったリリア、アサギとカマルの視線の中、封も開けずその手紙を女性使用人に返した。