半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
外で活動する時には人間に化け、屋敷内では本来の狸姿に戻る。
それが、奇妙な共同生活が始まったカマルの日常だった。妖力を余分に使わないでいられるのは有り難いと、屋敷に入ればリラックスモードだった。
「こうやって、自分の姿で人間の家に過ごせるなんて、不思議な感じです」
狸姿のカマルが、ソファの浅い位置に腰掛けて溜息をもらす。
風呂上がりの心地良さもあるのだろう。ごしごしとタオルで頭を拭っているカマルの顔には、達成感もあってほわほわとした表情が浮かんでいた。
「あともう少しで作業も終わりますね~」
「俺としては、よくその前足で器用にタオルを掴めるな、と不思議な光景に感じて観察しているところです」
確かに。実は、リリアも気になっていた。
アサギが告げたさばから、水を置いていった使用人達が、そのカルマの姿にほっこりとして「それでは、おやすみないさませ」と声をかけて出ていく。
「ねぇアサギ、あと袋一つ分あれば終わりなのよね?」
先に髪もすっかり乾かしていたリリアは、狐耳をぴこんっと立てて顔を向けた。裾の長い寝間着のスカート部分を押さえて、ソファの上に両足を上げる。
それが、奇妙な共同生活が始まったカマルの日常だった。妖力を余分に使わないでいられるのは有り難いと、屋敷に入ればリラックスモードだった。
「こうやって、自分の姿で人間の家に過ごせるなんて、不思議な感じです」
狸姿のカマルが、ソファの浅い位置に腰掛けて溜息をもらす。
風呂上がりの心地良さもあるのだろう。ごしごしとタオルで頭を拭っているカマルの顔には、達成感もあってほわほわとした表情が浮かんでいた。
「あともう少しで作業も終わりますね~」
「俺としては、よくその前足で器用にタオルを掴めるな、と不思議な光景に感じて観察しているところです」
確かに。実は、リリアも気になっていた。
アサギが告げたさばから、水を置いていった使用人達が、そのカルマの姿にほっこりとして「それでは、おやすみないさませ」と声をかけて出ていく。
「ねぇアサギ、あと袋一つ分あれば終わりなのよね?」
先に髪もすっかり乾かしていたリリアは、狐耳をぴこんっと立てて顔を向けた。裾の長い寝間着のスカート部分を押さえて、ソファの上に両足を上げる。