半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「姫様は仔狐ですからね。まぁ、仕方ないのは認めます。でもこいつはダメです。立派な大人なのに、この落ち着きのなさ」

 どうやらアサギは、そこも許せないでいるらしい。

 すると、ベッドでうつ伏せになったまま動かないでいたカマルが、復活した様子でのそのそと頭を上げた。リリアは毎度、彼の打たれ強さと回復力には感心していた。

 と、カマルの目がこちらを向いた。

「何?」
「姫様って、『人間の王子』とは婚約のフリだったんですよね。そういえば以前から、ちょっと気になっていたんですが」

 言いながら、カマルがよいしょと立ち上がって、とてとてとベッドの上を移動する。そして一番近くの本棚で、何冊か表紙を見せるように置かれてある本のヒーローを指した。

「もしかして姫様は、こういうオスがタイプなんですか?」

 直後、リリアは狐の耳もビーンッと立つくらいに驚いた。

「いぎゃ――――っ、バレた!」

 家の人以外にバレるのは初めてだ。もう恥ずかしくって、ソファにあったクッションを抱えて熱くなった顔に押し付けた。
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