半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
――それでいて先日、彼女は『他に結婚相手を探す』と言い放ったのだとか。
「なんでそんなことになっているんですか……」
コンラッドは、胃がきりきりして呟いた。ここにくるまでのサイラスを知っているだけに、理解不能だ。
「再会した際に、ご自覚されたんでしょう? なら、もう観念した方がよろしいかと」
それができていれば苦労もしない。
サイラスは、師としても長く、信頼しているコンラッドを前に黙り込む。
はぁ頭が痛いと、コンラッドが抱えている専門書を戻すべく再び動き出した。サイラスとは対照的に柔和で優しい美貌の上司だ。憧れている部下らも多く、彼の心境を察した様子もなく「今夜も素敵だな」「ああ、そうだな」とこっそり言葉が交わされる。
リリアは妖狐で、成長期の少々特殊な理由で休むことがあった。
熱が出るくらいの『放電期に入った』とは、サイラスは耳にした。
その後、復帰予定がいつからであるだとか、こういう経過なのでいついつ来られそうだとかの、レイド伯爵の報告もないまま一週間以上が経っていた。
「なんでそんなことになっているんですか……」
コンラッドは、胃がきりきりして呟いた。ここにくるまでのサイラスを知っているだけに、理解不能だ。
「再会した際に、ご自覚されたんでしょう? なら、もう観念した方がよろしいかと」
それができていれば苦労もしない。
サイラスは、師としても長く、信頼しているコンラッドを前に黙り込む。
はぁ頭が痛いと、コンラッドが抱えている専門書を戻すべく再び動き出した。サイラスとは対照的に柔和で優しい美貌の上司だ。憧れている部下らも多く、彼の心境を察した様子もなく「今夜も素敵だな」「ああ、そうだな」とこっそり言葉が交わされる。
リリアは妖狐で、成長期の少々特殊な理由で休むことがあった。
熱が出るくらいの『放電期に入った』とは、サイラスは耳にした。
その後、復帰予定がいつからであるだとか、こういう経過なのでいついつ来られそうだとかの、レイド伯爵の報告もないまま一週間以上が経っていた。