半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 そうやって行動が活発的になってから、リリアは庭を走り回るだけでなく、村の子供達とも以前に増してよく遊んだ。

 レイド伯爵家は庶民派で、とても領民達に好かれていた。リリアも普段は、動きやすいスカート衣装だ。

 彼女が大人しくないせいで、下からズボンが高確率で覗くのも村人達は慣れてしまっている。あまりのやんちゃ振りに、時々、子供達は本気で令嬢であることを忘れたりした。

「リリアの髪って、昔からすっげー長いよな。走るの邪魔じゃね?」
「リリアは貴族だから、伸ばしているのよ」
「あ。そうだった」
「私達だって、お嫁にいける十六歳までには、腰まで伸ばさなきゃいけないんだからね」

 この国では、女性は十六歳から結婚できた。

 婚儀の際、長い髪を結い上げて派手に飾る習慣があった。だから庶民の女性も、十六歳までには腰くらいまで髪を伸ばすのが一般的だった。

「姉ちゃんは、結婚してから好きにするって伸ばしてたなぁ」
「でもお前の姉貴、結局は今も長いまんまじゃん」
「ふふっ、旦那様が好きって言ったからでしょう?」

 羨ましい恋愛結婚だわと言った女の子が、そこでリリアへ目を戻す。
< 15 / 301 >

この作品をシェア

pagetop