半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「ああ、そういえばご婚約されていましたっけ――いてっ」
「おまっ、失礼だろう」
……学院と社交の場を知らない者は、婚約から三年、大きな進展や話題もないせいで、認知度もこんなものだ。
サイラスは唐突に立ち上がった。
コンラッドと部下達が、揃って「うわっ」と驚いて彼の方を見た。
「殿下、いきなりどうされたんですか」
「転移魔法室の、使用許可を取ってくる」
「え? 転移魔法? なんでまた」
「それから、そのスケジュールを広報の方に告げてくる」
「はぁ? あっ、ちょっと殿下お待ちください!」
戸惑う男達をよそに、サイラスが『最強の魔法使い』の称号印が入ったマントを揺らして、すたすたと歩き扉から出て行く。
その後を、軍では副官、王子である彼には護衛騎士であるコンラッドが続いた。
「……広報ってことは、王子として動く予定ってこと……?」
残された部下達が、不思議そうに顔を見合わせた。
――その翌日、第二王子殿下が、学院を休んでいる婚約者のお見舞いに行った、という内容が話題に上がることになる。
「おまっ、失礼だろう」
……学院と社交の場を知らない者は、婚約から三年、大きな進展や話題もないせいで、認知度もこんなものだ。
サイラスは唐突に立ち上がった。
コンラッドと部下達が、揃って「うわっ」と驚いて彼の方を見た。
「殿下、いきなりどうされたんですか」
「転移魔法室の、使用許可を取ってくる」
「え? 転移魔法? なんでまた」
「それから、そのスケジュールを広報の方に告げてくる」
「はぁ? あっ、ちょっと殿下お待ちください!」
戸惑う男達をよそに、サイラスが『最強の魔法使い』の称号印が入ったマントを揺らして、すたすたと歩き扉から出て行く。
その後を、軍では副官、王子である彼には護衛騎士であるコンラッドが続いた。
「……広報ってことは、王子として動く予定ってこと……?」
残された部下達が、不思議そうに顔を見合わせた。
――その翌日、第二王子殿下が、学院を休んでいる婚約者のお見舞いに行った、という内容が話題に上がることになる。