半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「あの……え、暇なの?」
リリアはこんがらがってきて、思わずパッと浮かんだ本音の方が口からこぼれ出た。
「なわけないだろう。多忙だ」
サイラスが、口元をやや引き攣らせて答えた。
そのまま彼の目が、呑気なポーカーフェイスで心情が読み取れないアサギ、そして同じように原に直で座り込んでいるカマルへと移る。
「また、不似合いなオスを連れているな」
チラリと一瞥されたカマルが、狐のアサギに睨まれた以上にビクーッとして、身の危険すら覚えた様子で飛び上がった。
ビビった拍子に、うっかり術が解けて狸姿に戻った。
「なるほど。化け狸か」
すぅ、とサイラスの目が細められる。
威嚇するように彼の魔力量が跳ね上がった。ガタガタ震え始めたカマルを、リリアは腕でかばって、自分の妖力で彼の魔力の影響を弾き返した。
「ちょっと、いきなりきて威圧するのはやめて。カマルは弱いあやかしなのよ」
「たとえ世話役の執事だったとしても、それが妖怪国では小さい部類に入るあやかしであったとしても、――不愉快だ」
かなり辛辣な言葉である。
リリアはこんがらがってきて、思わずパッと浮かんだ本音の方が口からこぼれ出た。
「なわけないだろう。多忙だ」
サイラスが、口元をやや引き攣らせて答えた。
そのまま彼の目が、呑気なポーカーフェイスで心情が読み取れないアサギ、そして同じように原に直で座り込んでいるカマルへと移る。
「また、不似合いなオスを連れているな」
チラリと一瞥されたカマルが、狐のアサギに睨まれた以上にビクーッとして、身の危険すら覚えた様子で飛び上がった。
ビビった拍子に、うっかり術が解けて狸姿に戻った。
「なるほど。化け狸か」
すぅ、とサイラスの目が細められる。
威嚇するように彼の魔力量が跳ね上がった。ガタガタ震え始めたカマルを、リリアは腕でかばって、自分の妖力で彼の魔力の影響を弾き返した。
「ちょっと、いきなりきて威圧するのはやめて。カマルは弱いあやかしなのよ」
「たとえ世話役の執事だったとしても、それが妖怪国では小さい部類に入るあやかしであったとしても、――不愉快だ」
かなり辛辣な言葉である。