半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
そういえば、彼は『人外』と呼ぶくらいに、あやかしを嫌っていた。
なんだそんなことかと、出会った当時を思い出して、リリアは彼の不機嫌の理由を納得する。そうすると、いよいよ彼がこんな遠いレイド伯爵領地まで来たのか分からない。
「不愉快って言うくらいなら、来なければよかったじゃない」
チラリと非難を込めて告げたら、サイラスが即言い返してくる。
「体調不良で休んでいた婚約者の様子を見にきて、何が悪い?」
つまりお見舞い?
でも自分達の婚約は、破棄前提のものだ。必要ないのでは?
リリアは、頭にある狐の耳ごと首を傾げた。アサギが時間を無駄にしないべく、紐状になった『逆さ草』を、長い一本へと仕上げる作業に戻っていた。
「それで? 成長期とやらだったらしいが、体調は問題ないのか」
「え? ああ、熱も下がったし、放電も落ち着いたわよ」
なぜかサイラスが、こちらを覗き込んでくる。唐突に体調を問われたリリアは、戸惑いぎみに小さな声で答えた。
なんだそんなことかと、出会った当時を思い出して、リリアは彼の不機嫌の理由を納得する。そうすると、いよいよ彼がこんな遠いレイド伯爵領地まで来たのか分からない。
「不愉快って言うくらいなら、来なければよかったじゃない」
チラリと非難を込めて告げたら、サイラスが即言い返してくる。
「体調不良で休んでいた婚約者の様子を見にきて、何が悪い?」
つまりお見舞い?
でも自分達の婚約は、破棄前提のものだ。必要ないのでは?
リリアは、頭にある狐の耳ごと首を傾げた。アサギが時間を無駄にしないべく、紐状になった『逆さ草』を、長い一本へと仕上げる作業に戻っていた。
「それで? 成長期とやらだったらしいが、体調は問題ないのか」
「え? ああ、熱も下がったし、放電も落ち着いたわよ」
なぜかサイラスが、こちらを覗き込んでくる。唐突に体調を問われたリリアは、戸惑いぎみに小さな声で答えた。