半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「まぁ、今の時代の人間には、馴染みがないでしょうね。もっと昔の魔法使い達が、こうやって植物で治療にあたっていた時代も知らないでしょうし」
ちくちくと作業に徹するアサギが、しれっと言った。ふぅ、と顔も向けず溜息を続けた様子は、『これだから偉そうな若輩魔法使いは』と言いたげだった。
サイラスが、機嫌を損ねた様子で眉を寄せた。
けれど彼は文句は言い返さなかった。小さく「ふんっ」と鼻を鳴らしたかと思うと、そのまま品もなくしゃがみ込んできた。
「ちょっと、隣から覗き込まないでくれる? 気が散るじゃない」
「そういう庶民的なことを、やるイメージがなかった」
なんだ、嫌味か? 伯爵令嬢なのにどうとかいう、人間視点からの嫌味なのか?
まぁ彼も忙しいだろうし、早々に帰って行くだろう。そう思って、リリアは放っておくことにした。
――のだが、予想が外れた。
ちくちくと作業に徹するアサギが、しれっと言った。ふぅ、と顔も向けず溜息を続けた様子は、『これだから偉そうな若輩魔法使いは』と言いたげだった。
サイラスが、機嫌を損ねた様子で眉を寄せた。
けれど彼は文句は言い返さなかった。小さく「ふんっ」と鼻を鳴らしたかと思うと、そのまま品もなくしゃがみ込んできた。
「ちょっと、隣から覗き込まないでくれる? 気が散るじゃない」
「そういう庶民的なことを、やるイメージがなかった」
なんだ、嫌味か? 伯爵令嬢なのにどうとかいう、人間視点からの嫌味なのか?
まぁ彼も忙しいだろうし、早々に帰って行くだろう。そう思って、リリアは放っておくことにした。
――のだが、予想が外れた。