半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「リリアちゃんは、髪結い上げるの大変そうね。耳、押さえたら痛いんでしょ?」
「うん、場合によっては痛い……多分、急所ね」
「おいリリア、自分から急所をバラしちゃだめなんだぞ。あやかしって領地の取り合いで、喧嘩だってするんだろ?」
「あ~、確かアサギがそんなこと言ってたような。それにね、痛くないように帽子を被せたりしても、すっごく窮屈なのよね」
だから母様もしていないんじゃないかしら?
そういえば、頭に被りものや髪を上げたのは見たことがない。リリアは自分の大きな獣の耳を、両手でぽふっと少し押さえつつ思った。
昔から村には、遠くの土地の食料品などを売りにきてくれるあやかしの商人も出入りしていた。リリアの頭にある獣耳も、子供達はすんなりと受け入れてくれている。
「リリアちゃんは貴族だし、いつか婚約者様を持っちゃうのかしら」
「結婚は好きにしていいって父様も言っていたから、婚約者なんて持たないわよ」
大きな木が一つある草原で、子供達と座り込んだリリアはそう答えた。
人間の多くが、あやかしを嫌っていることはアサギから聞いていた。とくに貴族は、異種族への拒絶感とあたりが強い。
だから、リリアは十歳になっても領地から外に出たことはなかった。
王都から届く招待状も、父のツヴァイツァーは『もう少しリリアが大きくなってから』と断っていた。人外嫌いを心配してのことだ。
「うん、場合によっては痛い……多分、急所ね」
「おいリリア、自分から急所をバラしちゃだめなんだぞ。あやかしって領地の取り合いで、喧嘩だってするんだろ?」
「あ~、確かアサギがそんなこと言ってたような。それにね、痛くないように帽子を被せたりしても、すっごく窮屈なのよね」
だから母様もしていないんじゃないかしら?
そういえば、頭に被りものや髪を上げたのは見たことがない。リリアは自分の大きな獣の耳を、両手でぽふっと少し押さえつつ思った。
昔から村には、遠くの土地の食料品などを売りにきてくれるあやかしの商人も出入りしていた。リリアの頭にある獣耳も、子供達はすんなりと受け入れてくれている。
「リリアちゃんは貴族だし、いつか婚約者様を持っちゃうのかしら」
「結婚は好きにしていいって父様も言っていたから、婚約者なんて持たないわよ」
大きな木が一つある草原で、子供達と座り込んだリリアはそう答えた。
人間の多くが、あやかしを嫌っていることはアサギから聞いていた。とくに貴族は、異種族への拒絶感とあたりが強い。
だから、リリアは十歳になっても領地から外に出たことはなかった。
王都から届く招待状も、父のツヴァイツァーは『もう少しリリアが大きくなってから』と断っていた。人外嫌いを心配してのことだ。