半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「道は開きましたよ。とっととお行きなさい」
声をかけられて、ようやく理解が追い付いたのか。
びくんっとしたカマルが、アサギを振り返る。そして、ぽんっと人間の姿に化けて、改めてリリア達を見た。
「お、俺、やったんですか? 成功?」
これからのことを思っているのだろう。大きく見開かれた目、両足もわなわなと期待に震えていた。
挨拶に行ったっきり、会えていない恋人との再会でもあるのだ。
ああ、これが恋なんだなぁとリリアは思った。
「ほら、さっさと行く! 少しでも早く彼女に会いたいでしょ?」
リリアが発破をかけてやると、カマルが「はい!」とジャンプしつつ答えた。
直後、彼が走り出した。開いた道の向こうへ、どんどん駆けていくと、あっという間にその後ろ姿は見えなくなっていった。
見届けたのち、アサギの案内で、カマルが開いた入口から元の屋敷の敷地内へと戻った。
いつの間にか日差しの傾きが変わっていた。
妖怪国では、人間界と時間の流れが少し違っている。びっくりしたリリアのかたわらで、魔法による〝知らせ〟を受け取ったサイラスが、小さく溜息をもらした。
「じゃあな」
そう告げると、サイラスもまた帰って行った。
結局のところ何をしに来たのかしらと、リリアは首を傾げたのだった。
声をかけられて、ようやく理解が追い付いたのか。
びくんっとしたカマルが、アサギを振り返る。そして、ぽんっと人間の姿に化けて、改めてリリア達を見た。
「お、俺、やったんですか? 成功?」
これからのことを思っているのだろう。大きく見開かれた目、両足もわなわなと期待に震えていた。
挨拶に行ったっきり、会えていない恋人との再会でもあるのだ。
ああ、これが恋なんだなぁとリリアは思った。
「ほら、さっさと行く! 少しでも早く彼女に会いたいでしょ?」
リリアが発破をかけてやると、カマルが「はい!」とジャンプしつつ答えた。
直後、彼が走り出した。開いた道の向こうへ、どんどん駆けていくと、あっという間にその後ろ姿は見えなくなっていった。
見届けたのち、アサギの案内で、カマルが開いた入口から元の屋敷の敷地内へと戻った。
いつの間にか日差しの傾きが変わっていた。
妖怪国では、人間界と時間の流れが少し違っている。びっくりしたリリアのかたわらで、魔法による〝知らせ〟を受け取ったサイラスが、小さく溜息をもらした。
「じゃあな」
そう告げると、サイラスもまた帰って行った。
結局のところ何をしに来たのかしらと、リリアは首を傾げたのだった。