半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
『拒絶されたら、きっと、傷付くと思うんだ』

 以前、父がアサギに相談しているのを、リリアは見てもいた。 

 父のツヴァイツァーは、いつだってリリアのことを考えてくれている。社交が大きく免除されていることもあって、向こうの貴族達の反応が分からないから不安も強いようだ。

 リリアは、父が心配するほど弱い令嬢ではない。

 戦闘に長けたあやかしなので、度胸もあり、母譲りの気の強さもある。

 でも、社交界や大都会には興味もなかった。人外嫌いがどれほどのものかは、村の外から来る人の反応を見れば分かる。

 言われている文句を、わざわざ聞きに行く趣味もない。

「リリア様、そろそろお戻りを」

 その時、リリアは、向こうから自分を呼ぶアサギの声に気付いた。アサギは屋敷の外では、いつも名前かお嬢様と呼んでいた。

 リリアにつられたように振り返った子供達が、大きく手を振る若い執事の姿を見て「あ」という顔をした。

「リリアのところの執事さんだ」
「領主様と同じくらいの年齢だって聞いたけど、全然変わんないよな」
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