半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「童顔なんだって、ママが言ってたわよ」
「もしかしたら、あやかしなのかも。先代様の執事も、たまに手から火を出してたって、爺ちゃん言ってたぜ」
レイド伯爵家は、妖怪国にも領地を持っている。
それは内外にも知られている有名な話だった。ここでは、実際に妖狐が出てきて村人を助けてくれたりもしていた。
だから、伯爵家の執事があやかしであったとしても不思議ではない。
それは友好的な気持ちであって、一体どっちなのかとわざわざ訪ねて確認する者もなかった。
「それじゃあ、またね」
そこで子供達の集まりはお開きとなった。親達のもと戻ることになった子供達と別れ、リリアもアサギと合流してその場を後にした。
屋敷に戻ると、レイド伯爵である父、ツヴァイツァーが彼女を出迎えた。
なんだか困り果てたような様子だった。気になったリリアは、玄関から入ってすぐ彼の服の裾を掴んで尋ねた。
「父様、どうかしたの?」
「それが、そのぉ……」
ツヴァイツァーが言い淀み、三十歳を超えたようには見えない凛々しい顔を、ゆっくりと明後日の方向へそらしていく。
ふと、リリアは、彼が手紙を持っていることに気付いた。それには、勉強した際に見た、国の鳳凰をモチーフにした紋章が入っていた。
「もしかしたら、あやかしなのかも。先代様の執事も、たまに手から火を出してたって、爺ちゃん言ってたぜ」
レイド伯爵家は、妖怪国にも領地を持っている。
それは内外にも知られている有名な話だった。ここでは、実際に妖狐が出てきて村人を助けてくれたりもしていた。
だから、伯爵家の執事があやかしであったとしても不思議ではない。
それは友好的な気持ちであって、一体どっちなのかとわざわざ訪ねて確認する者もなかった。
「それじゃあ、またね」
そこで子供達の集まりはお開きとなった。親達のもと戻ることになった子供達と別れ、リリアもアサギと合流してその場を後にした。
屋敷に戻ると、レイド伯爵である父、ツヴァイツァーが彼女を出迎えた。
なんだか困り果てたような様子だった。気になったリリアは、玄関から入ってすぐ彼の服の裾を掴んで尋ねた。
「父様、どうかしたの?」
「それが、そのぉ……」
ツヴァイツァーが言い淀み、三十歳を超えたようには見えない凛々しい顔を、ゆっくりと明後日の方向へそらしていく。
ふと、リリアは、彼が手紙を持っていることに気付いた。それには、勉強した際に見た、国の鳳凰をモチーフにした紋章が入っていた。