半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 するとツヴァイツァーが、視線を泳がせて言い辛そうに言葉を続けた。

「それが、俺はオウカさんと結婚しただろう? 妖怪国との繋がりが増して、ちょっと貴族としての箔が付いちゃったみたいで……それで、来られないんだったら、うちに直接殿下の方を訪問させたい、という知らせが届いてしまって、リリアの意見を聞こうかと――」
「王子なんて却下。来させないでください。『婚約者選びだったら勝手にそっちでやってろ』って断っといて、私興味ないし」

 リリアは、立てた親指を下に向けてそう告げた。

 その様子を見たツヴァイツァーが、青い顔をしてよろめいた。

「な、なんてことだ。可愛いリリア、『やってろ』なんて言葉とその仕草を、一体どこで覚えてきたの!?」
「アサギよ」

 リリアは、あっさり教えた。

 その途端、ツヴァイツァーが、王宮から届いた手紙をグシャアッと握り潰して、青筋を立てて叫んだ。

「アサギ――――――――っ!」
「はいはい、なんですか旦那様? つか、いいんすか、手紙ぐちゃぐちゃになってますけど」

 ようやく発言の許可を頂いたアサギが、面倒そうに歩み寄る。振り返りざまにツヴァイツァーが、彼の胸倉を掴み上げた。
< 20 / 301 >

この作品をシェア

pagetop