半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
恥ずかしいところを見られてしまったと、リリアはぐっと唇を噛み締めた。でも涙は止まってくれない。
しかも相手は、小説の好みド真ん中の『騎士様』だと知られた人だ。
もう色々と赤面が重なって、この際だと勢いでリリアは打ち明けた。
「仕方ないじゃない。父様と母様の恋を聞いて、憧れたの。物語のヒロインみたいに、誰かから愛されたら、どんなに素敵なのかしらって考えてしまったのよ」
化け狸のカマルを見て、やっぱりとても羨ましくなった。リリアだって女の子で、そして年頃なのだ。
「恋をしてみたい、だなんて、バカにされるのは分かってるの」
ぐしぐしと目元の涙をぬぐいながら、リリアは白状した。
人前でこんなに泣くのは、十二歳の頃以来だ。しゃっくりは出るし、涙はぼろぼろこぼれてくるし、もう、自分が何を言っているのか分からなくなる。
「人間なんて大嫌いよ、嫌い――でも、父様は人間なの。大切な領民のみんなも、大好きな使用人のみんなも人間で、私、人を嫌いになんてなれないのだわ」
しかも相手は、小説の好みド真ん中の『騎士様』だと知られた人だ。
もう色々と赤面が重なって、この際だと勢いでリリアは打ち明けた。
「仕方ないじゃない。父様と母様の恋を聞いて、憧れたの。物語のヒロインみたいに、誰かから愛されたら、どんなに素敵なのかしらって考えてしまったのよ」
化け狸のカマルを見て、やっぱりとても羨ましくなった。リリアだって女の子で、そして年頃なのだ。
「恋をしてみたい、だなんて、バカにされるのは分かってるの」
ぐしぐしと目元の涙をぬぐいながら、リリアは白状した。
人前でこんなに泣くのは、十二歳の頃以来だ。しゃっくりは出るし、涙はぼろぼろこぼれてくるし、もう、自分が何を言っているのか分からなくなる。
「人間なんて大嫌いよ、嫌い――でも、父様は人間なの。大切な領民のみんなも、大好きな使用人のみんなも人間で、私、人を嫌いになんてなれないのだわ」