半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「そうよ?」
「あの、それはちょっと……そして妖怪国に行かれるのも、少々、なんというか……」
もごもごと、彼が何やら焦って呟いている。
リリアは、狐耳ごと頭を傾けた。するとコンラッドが、ハッとして彼女の肩を掴んだ。
「お嬢様、できれば突拍子もない行動はしないで頂けると助かります」
ぐいっと顔を近づけられて、そう言い聞かせられた。
理想の騎士の顔が、すぐそこにあってリリアは少しドキドキする。でも現実の『別人』だと、もう分かっていたから信頼して尋ね返した。
「突拍子もない行動って?」
「令嬢達に何か言われても、堂々としていてください。だって、殿下に相応しいのは、あなたしか――」
その時、不意にコンラッドがビクーッとした。
かさり、と草を踏む足音がした。こんなに近付かれて気付かなかったなんてと、リリアは以前あった王宮の夜の舞踏会を思い出す。
振り返ってみると、そこにはサイラスがいた。
「二人きりでいるという話を聞いてきたみたが、本当だったらしいな」
サイラスが、社交辞令の笑みでも返すみたいに、唇の端を持ち上げる。
なぜかすごく不機嫌そうだ。ドス黒いオーラを発しているように見えて、リリアはわけがわからず困惑した。その死角で、コンラッドが死にそうな青い顔をしている。
「あの、それはちょっと……そして妖怪国に行かれるのも、少々、なんというか……」
もごもごと、彼が何やら焦って呟いている。
リリアは、狐耳ごと頭を傾けた。するとコンラッドが、ハッとして彼女の肩を掴んだ。
「お嬢様、できれば突拍子もない行動はしないで頂けると助かります」
ぐいっと顔を近づけられて、そう言い聞かせられた。
理想の騎士の顔が、すぐそこにあってリリアは少しドキドキする。でも現実の『別人』だと、もう分かっていたから信頼して尋ね返した。
「突拍子もない行動って?」
「令嬢達に何か言われても、堂々としていてください。だって、殿下に相応しいのは、あなたしか――」
その時、不意にコンラッドがビクーッとした。
かさり、と草を踏む足音がした。こんなに近付かれて気付かなかったなんてと、リリアは以前あった王宮の夜の舞踏会を思い出す。
振り返ってみると、そこにはサイラスがいた。
「二人きりでいるという話を聞いてきたみたが、本当だったらしいな」
サイラスが、社交辞令の笑みでも返すみたいに、唇の端を持ち上げる。
なぜかすごく不機嫌そうだ。ドス黒いオーラを発しているように見えて、リリアはわけがわからず困惑した。その死角で、コンラッドが死にそうな青い顔をしている。