半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「で、殿下、僕は騒ぎがあったので手助けしただけです。誓って、何もしていません」
主人に極寒の目を向けられ、コンラッドはだらだらと冷や汗を流した。リリアの肩からゆっくりと手を離しつつ、そう弁明したそばからフィンが、
「二人きりじゃないよー、狐もいるよー」
と、これまた呑気に訂正する。
サイラスを見ていたリリアは、ふと先程のアグスティーナの言葉を思い出した。
『殿下も困っているのよ』
そんなの知ってる。嫌がれていたのに国の都合で見合いをさせられ、大喧嘩になった。けれど魔力に耐性があるからと、リリアが一時的な婚約者となった。
――社交義務の大きな免除。そして、リリアの自由のために。
期限は十六歳まで。学院も、その頃には卒業している。
サイラスの魔力が、それまでにコントロールできるようになっていると見越してのこともあったのだろう。今の状態なら、アグスティーナあたりはもう全然平気、と。
だから、リリアの役目はほとんど終えたようなものなのだろう。
主人に極寒の目を向けられ、コンラッドはだらだらと冷や汗を流した。リリアの肩からゆっくりと手を離しつつ、そう弁明したそばからフィンが、
「二人きりじゃないよー、狐もいるよー」
と、これまた呑気に訂正する。
サイラスを見ていたリリアは、ふと先程のアグスティーナの言葉を思い出した。
『殿下も困っているのよ』
そんなの知ってる。嫌がれていたのに国の都合で見合いをさせられ、大喧嘩になった。けれど魔力に耐性があるからと、リリアが一時的な婚約者となった。
――社交義務の大きな免除。そして、リリアの自由のために。
期限は十六歳まで。学院も、その頃には卒業している。
サイラスの魔力が、それまでにコントロールできるようになっていると見越してのこともあったのだろう。今の状態なら、アグスティーナあたりはもう全然平気、と。
だから、リリアの役目はほとんど終えたようなものなのだろう。