半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 確かに、それを確認するのが一番いい。そう分かって、ツヴァイツァーも使用人達と見守る中、リリアは「原因……」と呟いて少し考える。

 元を辿れば、結局のところ、その先には一人しかいない。

「バカ王子よ」
「あんのクソガキがぁぁあああああ!」

 途端にツヴァイツァーが、手に取ったティーカップを握り砕いた。

「俺の可愛いリリアに、一体何をしやがった! 婚約者であるのをいいことに、アレやコレやまでのフリをさせていたとしたら、ぶちのめす!」

 ツヴァイツァーの騒ぎっぷりに、使用人達は慣れたように処理作業へと移った。なんだ、また王子か、と彼らは犬猿の仲を思っていた。

 また一つ使用人の仕事が増えたのを眺めるアサギは、半笑いだった。

「こういうところがあるから、姫様の荒っぽいのも直らないんですよ」

 それでいて、本人が物憂げに考えて聞いていないのも、ちょっとどうだろうか。アサキが視線を向けた先には、ごちそうさまと伝えて立ち上がったリリアの姿があった。

「私、部屋でゆっくりしてくる」

 疲労感なのだろうか。やる気も起こらなくて、リリアは本日もそうすることに決めると、ふわりと浮かんで二階の自室を目指した。
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