半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「すまなかった」
「え」
「レイド伯爵、あなたにそんな言葉を使わせてしまうくらいに、お見合いでの初めての訪問での俺の態度にも問題があったのは認める。本当に申し訳なかった」

 それは謝罪だった。

 昔のサイラスだったら、絶対にそんなことしなかったのに――リリアも含めて、そこにいた一同が目を丸くしていた。

 ツヴァイツァーも、予想外のことで動揺しているようだった。

「え。え……?」

 直前まで、喧嘩を売ってくるなら買ってやると身構えていたこともあるだろう。戸惑いの声を上げた彼が、サイラスと、そしてリリア達を交互に見やる。

「レイド伯爵。突然の訪問で悪いが、少し、リリアと過ごしてもいいだろうか?」
「は……、え?」
「先日までばたばたしていて、学院でも話す機会がなかった。また妖狐の成長事情で休んでいたのかと、心配になって様子を知りたかったのもある」
「えーっと、つまり君は、俺の娘の休みを気遣って……?」

 混乱極まった顔で、ツヴァイツァーが彼を指差して言った。
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