半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 それが、騒ぎの流れだ。

 リリアが放電しかけなければ、あれほど騒がしくはならなかった。そして、サイラスのことを思ったからこそ、アグスティーナが注意してきた意図もあったと考えれば、彼女の指摘はごもっともだ。

 ふと、頬にサイラスの指をあてられて、リリアはびくっとした。

「な、何?」

 びっくりして見つめ返すと、彼が頬に落ちたリリアの髪を後ろへとやってから、そっと手を離した。

「なんでも」

 なんでもっていう感じじゃなかったけど……。

 リリアは、普段から全く飾り一つしない自分のプラチナブロンドの髪を見た。確かに頬によくかかるので、他の女の子達みたいに少し留めるでもした方がいいのかしら?

 きっとサイラスは、見慣れなくて、邪魔じゃないんだろうかと思ったのかもしれない。

 頭にある狐耳ごと首を傾げて、リリアは少し考える。

「どうして来たのよ。わざわざ事実を確認するため?」

 そういえばコンラッドは、あの小説のことはバラしていないだろうな。ふと思い出して、尋ねつつ疑い深く観察する。
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