半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
リリアにまじまじと見られたサイラスが、初めて視線をそらした。
「負けず嫌いなのに、どんなに待っても来なかったから」
負けず嫌いなのはサイラスの方だ。学院で再会した後、何度目かに顔が合った際、わざわざ飛べるようになったことを競うようにして言ってきた。
その前に妖力と魔力をぶつけあって見てますけど、それが何か?とリリアは思ったものだ。
おかげで、半妖のあやかし令嬢だというざわめきは、あの王子も半端ないよなぁ、という畏れと尊敬の交わされる言葉でも大きくなっていた。
そういえば、その直前に香水のやりとりをしていたような――。
近付くと、その妙な果実の匂いが鼻をかすめて、辛かった時期があったのを思い返していると、サイラスがこちらを見た。
しばらく、何も言わず見つめられた。
「何よ?」
訝って問いかけたら、彼の視線が一度、リリアと自分の間へと向けられた。そして、隣に座っている彼女へと再び目が戻される。
「こうして座っていても、怒らないんだな」
「ん? 地べたに座らせたことなら、謝らないわよ。いきなり来たあんたが悪いの。田舎貴族だし、私は普通にこうやって草の上に座るのも普通なの」
嫌味を言われるのを見越して、先手を打ってリリアはぴしゃりと言った。
「負けず嫌いなのに、どんなに待っても来なかったから」
負けず嫌いなのはサイラスの方だ。学院で再会した後、何度目かに顔が合った際、わざわざ飛べるようになったことを競うようにして言ってきた。
その前に妖力と魔力をぶつけあって見てますけど、それが何か?とリリアは思ったものだ。
おかげで、半妖のあやかし令嬢だというざわめきは、あの王子も半端ないよなぁ、という畏れと尊敬の交わされる言葉でも大きくなっていた。
そういえば、その直前に香水のやりとりをしていたような――。
近付くと、その妙な果実の匂いが鼻をかすめて、辛かった時期があったのを思い返していると、サイラスがこちらを見た。
しばらく、何も言わず見つめられた。
「何よ?」
訝って問いかけたら、彼の視線が一度、リリアと自分の間へと向けられた。そして、隣に座っている彼女へと再び目が戻される。
「こうして座っていても、怒らないんだな」
「ん? 地べたに座らせたことなら、謝らないわよ。いきなり来たあんたが悪いの。田舎貴族だし、私は普通にこうやって草の上に座るのも普通なの」
嫌味を言われるのを見越して、先手を打ってリリアはぴしゃりと言った。