半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
でも、考えてもどっちか分からない。普通に話せるようになったのは、リリアがコンラッドを、もう小説のヒーローと同じだと重ねなくなったからだ。
学院の一角を歩いていたリリアは、本を抱えたままふわりと浮かんだ。
ここからだと、飛んで授業本館の建物を飛び越え、反対側にある敷地内の図書館へ寄った方が近い。
次に入っている最後の講義まで、時間があるので次の本でも選ぼうかしら。
そんなことを考えながら飛んでいた。上から、ふと図書館の前で、何やら言い合っている令息達の姿が目に留まった。
「何かしら?」
リリアはふわふわと寄って行きながら、つい声をかける。
「ごめんください、どうかしたんですか?」
「うわっ――あ、なんだ殿下のご婚約者様の……」
振り返った少年が、もごもごと確認の言葉を口の中に落とす。相手の眼鏡をかけた小柄な少年も、目をパチパチとしてリリアを見ていた。
「近くで見てみると、ほんとに空を飛んでいる……」
「飛べるわよ。それがなんなの」
眼鏡の彼もまた、年下の学年であるようだ。バッジを見て判断したリリアは、ふわりと降り立ちながら怪訝そうにチラリと顔を顰める。
いや、普通は浮遊できない。
図書館を出入りして居合わせた数人の生徒達が、同じことを言いたいような表情をした。
学院の一角を歩いていたリリアは、本を抱えたままふわりと浮かんだ。
ここからだと、飛んで授業本館の建物を飛び越え、反対側にある敷地内の図書館へ寄った方が近い。
次に入っている最後の講義まで、時間があるので次の本でも選ぼうかしら。
そんなことを考えながら飛んでいた。上から、ふと図書館の前で、何やら言い合っている令息達の姿が目に留まった。
「何かしら?」
リリアはふわふわと寄って行きながら、つい声をかける。
「ごめんください、どうかしたんですか?」
「うわっ――あ、なんだ殿下のご婚約者様の……」
振り返った少年が、もごもごと確認の言葉を口の中に落とす。相手の眼鏡をかけた小柄な少年も、目をパチパチとしてリリアを見ていた。
「近くで見てみると、ほんとに空を飛んでいる……」
「飛べるわよ。それがなんなの」
眼鏡の彼もまた、年下の学年であるようだ。バッジを見て判断したリリアは、ふわりと降り立ちながら怪訝そうにチラリと顔を顰める。
いや、普通は浮遊できない。
図書館を出入りして居合わせた数人の生徒達が、同じことを言いたいような表情をした。