半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 やや遅れて、リリアに声を掛けられた二人の少年が、上の身分の者へ対する礼を取った。

「その、すみません。殿下のご婚約者様へご挨拶が遅れまし――」
「そんなかたっ苦しいのは、なくていいわよ」
「えぇぇ、でも」
「眼鏡君も、でもとかなんとか言わない。ここは『学び処』なんでしょ」

 学院の理念では、授業を受けるのに、出身や家のことが阻害になってはいけない、となっている。学ぶ生徒は、家柄などで優遇や贔屓などもされない。

 それにリリアは、こうやって婚約者として上の立場の人、みたいな扱いをされるのも慣れなかった。

 別に、婚約者であることを利用して、偉ぶりたいだとか全く思わない。

 リリアは今更のように少し気が引けた。どうやら人外に嫌悪感は持っていないらしいが、相手は授業で少なからず見知ってる教授らとは違う。

「眼鏡って、結構ひどい……」

 華奢な少年が、思い返す顔でぽつりと呟いた。

「俺、この流れだと、ノッポって言われそうだな……」

 思わず同意して口にした隣の少年が、「あ」と唐突に声を上げた。
< 236 / 301 >

この作品をシェア

pagetop