半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
その時、リリアは声をかけた目的を思い出した。思い至った様子の彼よりも、先に言う。
「それで、何を揉めていたの?」
「いえ、別にそこまで言い合っていたわけでもないのですが……俺ら、今期で学院に入ったばかりなんで、図書委員会としてへますることも多いんです」
「ふうん。『へま』……何かうっかりやらかしちゃったの?」
リリアは、獣耳ごと小首を傾げた。腕の中の本を、ぎゅっと抱え直したのに気付いた眼鏡の少年が、あっと目を向ける。
「それ、僕らで返しておきましょうか? 図書委員会の仕事なので」
「え、いいの? ありがとう」
なんだ、話してみると結構普通っぽい。
リリアは、そんなことを思いながら本を手渡した。彼が「お礼言われた……」と、困惑しつつも緊張気味に手を伸ばして受け取る。
同じく意外だという目をした少年が、見届けたところで、ハタとして切り出した。
「実は授業の参考資料の一部は、こっちから集められて使われるんですよ。それを、身分があまり高くない者が集められた図書委員会で、また片付けるわけです」
「それで、何を揉めていたの?」
「いえ、別にそこまで言い合っていたわけでもないのですが……俺ら、今期で学院に入ったばかりなんで、図書委員会としてへますることも多いんです」
「ふうん。『へま』……何かうっかりやらかしちゃったの?」
リリアは、獣耳ごと小首を傾げた。腕の中の本を、ぎゅっと抱え直したのに気付いた眼鏡の少年が、あっと目を向ける。
「それ、僕らで返しておきましょうか? 図書委員会の仕事なので」
「え、いいの? ありがとう」
なんだ、話してみると結構普通っぽい。
リリアは、そんなことを思いながら本を手渡した。彼が「お礼言われた……」と、困惑しつつも緊張気味に手を伸ばして受け取る。
同じく意外だという目をした少年が、見届けたところで、ハタとして切り出した。
「実は授業の参考資料の一部は、こっちから集められて使われるんですよ。それを、身分があまり高くない者が集められた図書委員会で、また片付けるわけです」