半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「この箱、持って行っていい?」

 よしとダンボール箱にふたをしたところで、くるりと振り返って確認した。

 リリアの声に、二人の少年がハタとした。すぐ背の高い少年が軽く頭を下げて、眼鏡の少年もあとに続く。

「手伝ってくれて、ありがとうございました、先輩」

 目上の身分らしく扱うたび、ジロリと睨まれていたから学生っぽい感じで言った。

「よろしい」

 リリアは、ふふんっと胸を張って答えた。

 チラリと本人の反応を窺った二人の少年が、ほっとした様子で頭の位置を戻す。

 そこでようやく、リリアは見える範囲内にいる少年少女達から、見られているのに気付いた。知らぬふりをして、視線は向けないようにした。

 けれど隠してもいない狐の耳は、ぴくぴくっとそちらに反応している。

 ――第二王子の婚約者の、あやかし令嬢。

 とくに、前者の方があって見られているのだろう。

 リリアは相応しくない。先日の公爵令嬢アグスティーナを支持している生徒達なのか、ひそひそとそう嫌な感じで陰口もされていた。
< 241 / 301 >

この作品をシェア

pagetop