半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
その嫌な感じは、最近強まっている気がする。
いや、もしかしたらリリアが、これまで目にかけていなかっただけなのかもしれない。だから気付くのに遅れただけで、本当は月日が経つごとに彼女の方の味方が増えていっていて、反感も日ごと増しているのだろうか。
――それ、サイラスの方は、大丈夫なのだろうか?
宿している魔力も、体の外に漏れ出さないよう抑えられつつある。
それを踏まえて、なんやかんやと仕事の邪魔になるような『助言』だとか、されたりしていないだろうか?
リリアは、急きょ必要だったから立てられた、偽物の婚約者。
しばらくは互いに、自分のことに専念できるからといった思惑だってあった。しかし、そうやって仕事の集中を欠かれるようでは、本末転倒だ。
……今の彼の状況から考えると、十六歳まで待つ必要なんてそもそもないのでは?
「怖い顔、してますね」
不意に、背の高い方の少年の声が耳に入ってきて、リリアはハタと我に返った。
「え? ああ、別にあなた達が悪いわけじゃないのよ。ちょっと個人的に、ね。気にしないで」
ぎこちなく表情を取り繕って、そう答えた。
いや、もしかしたらリリアが、これまで目にかけていなかっただけなのかもしれない。だから気付くのに遅れただけで、本当は月日が経つごとに彼女の方の味方が増えていっていて、反感も日ごと増しているのだろうか。
――それ、サイラスの方は、大丈夫なのだろうか?
宿している魔力も、体の外に漏れ出さないよう抑えられつつある。
それを踏まえて、なんやかんやと仕事の邪魔になるような『助言』だとか、されたりしていないだろうか?
リリアは、急きょ必要だったから立てられた、偽物の婚約者。
しばらくは互いに、自分のことに専念できるからといった思惑だってあった。しかし、そうやって仕事の集中を欠かれるようでは、本末転倒だ。
……今の彼の状況から考えると、十六歳まで待つ必要なんてそもそもないのでは?
「怖い顔、してますね」
不意に、背の高い方の少年の声が耳に入ってきて、リリアはハタと我に返った。
「え? ああ、別にあなた達が悪いわけじゃないのよ。ちょっと個人的に、ね。気にしないで」
ぎこちなく表情を取り繕って、そう答えた。