半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「ああ、先程のも悪口ではないので誤解しないでください。ほんと社交辞令ではなくて、俺も遠目から見た印象、あなたで良かったなと個人的に思ったんですよ。嫌味っぽくない言い方とか、頭がよくて、パッと決めて即行動に移れるところとか」

 よく分からなくて、リリアは見つめ返す。

 分かっていないのを表情に見て取り、眼鏡の少年が、意外な反応だと言わんばかりに目を丸くした。背の高い少年が、続けて軽く笑った。

「うん。思っていた通りの人でした」

 そう笑って言った彼が、リリアを指差した。

「たとえば、今、ですよ」
「今?」
「ついでに言えば、この前も空を飛んで、教授の荷物を運んでいたでしょう? 裏手のこっちからだと、よく見えるんです」

 そういえば、最近もそんなことがあった。やけに荷物が多かったから「なんなら先に降ろしてきますよ」と、帰るコースついでに提案したのだ。

 あれは、ついでだったから荷物を降ろしてやっただけだ。歩くより、飛んで持った方が負担も少ないし、楽ではある。

 でも結局のところ、彼が何を言いたいのか分からなかったな。

 リリアは、余っていた時間がもう少なくなっているのに気付いて、思案を打ち切る。ダンボール箱を目的の場所まで届けたら、最後の分の授業に向かわないといけない。
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